技術やテクノロジーの進歩に伴い、近年は溶接法にロボットを導入するなど作業の自動化が進んでいます。
溶接がどのように行われてきたのか、歴史を知ることで今後の発展に役立つかもしれません。
本記事では溶接作業が自動化された背景と、今後の課題について解説していきます。
溶接の歴史は、紀元前3000年頃の鉄器時代から続いているといわれています。
ただし、現在のような溶接法が確立したのは1900年代初頭からであり、工業用としての溶接の歴史はそこまで長くありません。
1900年頃までに開発されたとされる手溶接は、電流を流すアーク溶接が一般的でした。材料を加熱し、ハンマーなどで結合させる伝統的な溶接方法です。
溶接法としてはポピュラーな方法であり、構造関係なく溶接できることがメリットですが、職人の技術により品質にバラつきがあるなどのデメリットもありました。
その後、溶接棒を電極として行う被覆アーク溶接が勢いよく浸透していき、1970年代頃には同工法を用いた生産がほとんどだったそうです。
手溶接の負担を軽減するために開発されたのが、半自動溶接です。
半自動溶接にすることで、被覆アーク溶接に使用する溶接棒の交換作業が省略され、生産性と品質向上に貢献しました。
ただし、作業者の違いによる品質の差は改善できませんでした。
品質の均一化を目指して誕生したのが自動溶接です。
自動溶接は2種類あり、自動溶接機を使用した溶接法が「自動溶接」、ロボットを使用した溶接が「ロボット溶接」と呼ばれています。
自動溶接が取り入れられた頃は、工場のラインで連続作業として行われていました。
この自動溶接をさらに進化させたのが、ロボットを活用したロボット溶接です。
これまでできなかった高度な溶接作業を行えることで、さまざまな制限をクリアし、品質の均一化に成功しました。
生産効率と品質の向上、作業者の安全性の確保などに貢献する溶接ロボットですが、スパッタが飛び散ってしまう、プログラミングの関係で柔軟な対応が難しいといった課題が残されています。
また、自動化された溶接ロボットの操作やメンテナンスは、高度な技術と知識を必要とします。そのため、人材の確保や育成といった面の課題もクリアしなければなりません。
溶接ロボットの導入を検討する際は、メリットと課題を両方知っておくことが大切です。